Windows11の厄介者 OneDrive
[OneDrive]はマイクロソフト(以下MS)が提供するクラウドストレージだ。
MSアカウントがあれば、無料で5GBまで使える。 ❶ファイルのバックアップ
❷複数のパソコン間でのファイルの受け渡し(共有) (但し、同一アカウント使用時)
❸メールに添付できない大容量のファイルの共有(受け渡し)
❹Web版Office(Office Online)の利用
などに活用できる。
無料で使える容量が余りにも少ないことを除けば、大変便利な機能だ(と思う)。
ご承知の通り、Windows11の初期設定ではMSアカウントが必須となっている。
MSアカウントを使うと、MS社の様々なサービスを使うことができるので
あながち悪いことだとは断定できないが、厄介な問題が潜んでいる。
それが[OneDrive]だ。
初期設定のままだと、勝手に[OneDrive]が動き出し、勝手にバックアップ(同期)が始まる。
初期設定時に[OneDrive]を使わない」という選択肢はない。伏魔殿の厄介者だ。
百歩譲って[OneDrive]の機能を認めたとしても、初期設定で
主要なフォルダー[デスクトップ],[ドキュメント],[ピクチャ]を
勝手にクラウドストレージにバックアップ(同期)させる設定は許し難い。
初期設定は「仕組みが理解できて使いたい人が使う」ようにすべきだ。
無知なユーザーを有償クラウドストレージサービスに誘導するMS社の陰謀としか思えない。
2023年7月頃、ボランティア活動(シルバーCITAサロン)の会員さんたちは
一斉にパソコンを買い替えられた。当然、OSはWindows11だ。
会員さんからは、
❶通知領域に雲形のアイコンが表示されている。なにこれ?
❷エクスプローラを開くとファイルやフォルダーに見かけないマークがついている。
なにこれ?
❸エクスプローラを開くとナビゲーションウィンドウに、雲形のマークのついた[X-個人用]が表示されている。
なにこれ?(Xの部分は個人によって異なる)
❹ファイルを削除すると「削除されたファイルはどの場所からでも削除されます」など表示される。
なんで?
などなど、不安と不満の入り混じった質問をよく受ける。
これも、それも、あれも、どれも、全て[OneDrive]のなせる仕業だ。
Windows11でMSアカウントを使うと、自動的に[OneDrive]が有効になり、
特定のフォルダー「デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ(写真)」(2023/12末現在)の
自動バックアップ(同期)が問答無用で始まる。
この仕掛けを知らない方からすれば「なんじゃこりゃ」ということになる。
貴方のパソコンの設定どうなっている?
バックアップ(同期)状況の確認方法(一例)ː
①[タスクバー上の雲形アイコンを右クリック]=>[設定]=>[同期とバックアップの画面]=>
[バックアップを管理]
②[設定]=>[アカウント]=>下方の[アカウントの設定]の項の=>[Windowsバックアップ]=>
[OneDriveフォルダーを同期しています]の項の=>[同期の設定を管理する]=>
[このPCのフォルダーをバックアップする]画面
「デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ(写真)」がバックアップ対象になっている |
バックアップ機能が有効だと、ファイルの階層構造は下図右側のようになる。
標準の保存先であるはずの
「デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ(写真)」
は[OneDrive]の直下に配置されている。
このまま使い続けると
「OneDriveの容量5GBを使い切りバックアップが出来なくなる」
可能性が想定される。
(まあバックアップが出来ないだけで保存が出来なくなるわけではありませんが)
あなたはどうする? 考えられる選択肢は5つ。
No | 選択肢 | 対応内容 |
1 | 今のまま使い続ける | OneDrive上のファイルを小まめに管理し、 5GBの容量を気にしながら使用する |
2 | OneDriveの容量を増やす(有償) | 有償版(Basic(100GB),Personal(1TB)など)を購入する。 Personal(1TB)を購入すると常に最新のOfficeが使える |
3 | バックアップを停止する。 OneDrive機能は残す。 |
バックアップを停止し、OneDrive上のファイル(フォルダー)の中身を 本来の標準保存先に移動させる。OneDrive機能は残し、 自身が指定したファイル(フォルダー)のみをOneDriveに保存する。 Officeの標準保存先を変更する。 |
4 | バックアップを停止する。 OneDrive機能を停止させる。 |
バックアップを停止し、OneDrive上のファイル(フォルダー)を 本来の標準保存先に移動させ、Officeの標準保存先を変更する。 [OneDrive]へのリンクを解除し、スタートアップで無効にする。 |
5 | OneDrive機能を削除する | バックアップを停止し、OneDrive上のファイル(フォルダー)を 本来の標準保存先に移動させ、その後OneDriveそのものを アンスンストールする。Officeの標準保存先を変更する。 |
どれを選択するかは「自己責任」でお決めください。
選択肢(3,4,5)の対応策
[設定]=>[アカウント]=>下方の[アカウントの設定]の項の=>[Windowsバックアップ]=>
[OneDriveフォルダーを同期しています]の項の=>[同期の設定を管理する]=>
[このPCのフォルダーをバックアップする]画面で
「デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ(写真)」の設定を[オフ]にします。
バックアップ(同期)を[オフ]にすると、
①[デスクトップ][ドキュメント][ピクチャ]がユーザー名直下に作成され、
標準の保存場所になります。[オフ]直後は内容はなく空っぽです。
②[OneDrive]直下のフォルダー及び内容は残ったままです。
❷フォルダー(ファイル)内のデータのコピー(又は移動)
バックアップ(同期)を停止すると、[OneDrive]直下のフォルダーは残ったまま、ユーザー名直下に
(標準の保存先としての)[デスクトップ],[ドキュメント],[ピクチャ]が作成される。
初期設定のままパソコンを使っていた方は、[OneDrive]上にデータが保存されているはずなので、
このデータを、新たに作成された[デスクトップ],[ドキュメント],[ピクチャ]にコピー(又は移動)させる必要がある。
デスクトップの場合(ドキュメント、ピクチャも同様)
[エクスプローラー]を開いて左側のナビゲーションウインドウで
①[✖-個人用]=>[デスクトップ]=>[[Ctrl]キー+[A]キーで全て選択し]=>[[Ctrl]キー+[C]キーでコピー]または
[[Ctrl]キー+[X]キー]で切り取り
②[デスクトップ]=>[[Ctrl]キー+[V]キー]で貼り付け
(注)
①[ピクチャ]フォルダーの場合は注意が必要。
ピクチャフォルダーの中には、[カメラロール],[スクリーンショット]のフォルダーがある。
これらのフォルダーはフォルダーごとコピー(又は切り取り)するのではなく、
中身のみをコピー(又は切り取り)すること。
(フォルダーごとコピー(又は切り取り)すると同名のフォルダーが2つ出来てしまう。
②他のパソコンと共有したいフォルダー(ファイル)がある場合は、そのまま残して置く。
③移動先にできた[XXXXXへのショートカット(OneDtive)]は削除してよい。
④[個人用Vault]を使っている場合は、忘れず移動する。
❸任意のファイルを[OneDrive]に保存(同期対象に)する
どうしても[OneDrive]上に保存したい場合は、
Wordの例:
[名前を付けて保存]時に、[OneDrive]を選択し[保存]すればよい。
❹WordやExcelなどファイルの保存先を標準の保存先に変更
officeファイルの保存先は[Onedrive]になっているので標準の保存先に変更する。
[Word起動]=>[ファイル]=>[その他(…)]=>[オプション]=>[保存]=>[文書の保存の項]で
[規定でコンピューターに保存する]にチェックを入れる。
ユーザー名直下のドキュメントフォルダーが[\Documents]になっていることを確認。
なお、この設定はOffice内で共通化されているのでExcelやPowerPointへの対応は不要。
❻[OneDriveの機能停止]
当面[OneDrive]のバックアップ(同期)機能は使う予定はないが、ひょっとしたら今後使うかもしれない
という場合は、[OneDrive]へのリンクを解除し、スタートアップで[OneDrive]を[無効]にするとよい。
使いたいときには、この手順の逆を行えばいい。
①リンクの解除
[タスクバー上のOneDriveアイコンを右クリック]=>[設定]=>[アカウント]で
[このPCからリンクを解除する]をクリック
②スタートアップで[OneDrive]を[無効]にする
[タスクバー上で右クリック]=>[タスクマネージャー]=>左側の[スタートアップ]=>
[onedrive.exe]の上で右クリック=>[無効]をクリック
(注)❷,❹の作業は済ませておきましょう。
❻[OneDriveのアンインストール]
[OneDrive]、仕組みを知って使えば大変便利な機能だ(と思う)。
・他のパソコンとデータ共有ができる(同一アカウント使用時)
・任意のフォルダー(ファイル)のみの同期も可能
・保存したデータを特定ユーザーと共有できる(メールに添付できない大容量データの受け渡し)
・Officeアプリのファイルの共同編集
などなどメリットは多い。
「そんなの関係ね~」,「[OneDrive]なんて真っ平御免」とおっしゃる方は、
[OneDrive]を削除(アンインストール)しましょう。
(注)削除する前に❷,❹の作業は済ませておきましょう。
[OneDrive]の削除(アンインストール)は一般的なアプリと同様で簡単です。
[設定]=>[アプリ]=>[インストールされているアプリ >]=>[Microsoft OneDriveの…]=>
[アンインストール]
削除(アンインストール)するとエクスプローラーのナビゲーションウインドウから[OneDrive](ユーザー名の一部-個人用)が消える。
ユーザー名フォルダー中にある[OneDrive]フォルダーは残ったままなので、目障りであれば
中にファイルが残っていないことを確認した上で削除するとスッキリする。
【おまけ】
[OneDrive]を調べている中で以下のことも判明しました。必要に応じて対応してください。
①[Snipping Tool]を実行すると、
結果が[ピクチャフォルダー]中の[スクリーンショット]フォルダーに自動保存される。
解除方法は、
[SnippingTool]起動=>[三点リーダー(…)]=>[設定]=>[スクリーンショットを自動的に保存する]のチェックを[オフ]
②以下の2項目も[オフ]にしておいたほうが良い? [タスクバー上の雲形アイコンを右クリック]=>[設定]=>[同期とバックアップの画面]