2022年6月5日日曜日

「神の使い(神使)」と「狛犬?」オンパレード (その2)

「神の使い(神使)」と「狛犬?」オンパレード (その2)

 神社にはそれぞれ「神の使い(神使)」とされる動物がいる。
代表的なものとして
  稲荷系の「狐」
  天神(天満宮)系の「牛」
  春日系の「鹿」
  八幡系の「鳩」
  日吉(山王)系の「猿」
などが「神の使い(神使:しんし)」だと言われている。

一方、大抵の神社の参道や本殿前には一対の「いわゆる狛犬」と呼ばれるものがいる。
邪気を祓い神前を守護する意味があるそうだ。
そして神の使い(神使)が「いわゆる狛犬」として設置されている神社も多い。

市内(一部市外)で見かけた「神の使い(神使)」と珍しい「狛犬?」を幾つかご紹介。

No神使狛✖代表的神社(市内,一部市外)備 考
1鰻(うなぎ)三嶋神社その1
2
兎(うさぎ)狛兎岡崎神社その1
3
亀と鯉
松尾大社その1
4
鼠(ねずみ)?狛鼠大豊神社大国社その1
5蛇(へび)?狛蛇大豊神社本殿その1
6猿(さる)狛猿大豊神社日吉社
その1
7鳶(とび)?狛鳶大豊神社愛宕社その1
8鹿(しか)狛鹿大原野神社その1
9牛(うし)長岡天満宮 その2
10鳩(はと)狛鳩長峰八幡宮その2
11猿(さる)狛猿新日枝神社その2
12午(うま)?狛午田中神社その2
13八咫烏(やたがらす)新熊野神社その2
14亥(いのしし)狛亥護王神社その2
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その2
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その2
([]は疑わしいもの)     
天満宮(天神)系の神の使いは「牛」だ。祭神は言わずと知れた「菅原道真公」。
「牛」が神の使いとされた訳は、
長岡天満宮境内の「菅原道真公と牛について」の解説板に詳しい。


八幡系の神の使いは「鳩」だ。
京都市内では「三宅八幡宮」が有名らしいのだが、残念ながら行ったことがない。
ここでは、長峰八幡宮(八幡宮社)を紹介する。
長峰八幡宮(八幡宮社)は、府道733号線(柚原向日線)で金蔵寺へ行く途中にある。
こじんまりした神社だが歴史を感じさせる。
由緒書きなどは設置されていないので詳しいことは分からないが、
八幡宮なので祭神は応神天皇なのでしょう。
「鳩」が神の使いとされた訳は、
 ❶宇佐八幡神(応神天皇の神霊)は、山頂の巨石から「金色の鷹」となって出現し、
  鍛冶の翁、三歳の童子へと変わり、後に「金鳩」に変じた
 ❷宇佐八幡から岩清水八幡に勧請した際や、源氏が祈願した際に金鳩が現れた
 ❸・・・
などなど諸説あるようです。

長峰八幡宮(八幡宮社)には「狛鳩」のみならず、欄間にも屋根にも鳩がいます。
所謂「普通の狛犬」もいます。
「狛鳩」だけに拘らずジックリ探訪するといいでしょう。
狛鳩


【おまけ】
本殿右側の石垣に小さな穴が開いています。
「石が欠落して穴が開いているのだろ~」と見逃しがちですが、
実は古墳(円墳)の石室開口部です。
そうなんです、長峰八幡宮は古墳の上に建てられているのです。
這いつくばれば中を覗くことも出来ます(懐中電灯は必携)。
(石室内部はカメラを突っ込みフラッシュをたいて撮影したものです)       


【猿】新日吉(いまひえ)神宮:東山区妙法院前側町
 新日吉神宮はその名の通りバリバリの日吉系だ。
 永暦元年(1160年)、後白河法皇が比叡山東坂本の日吉山王七社(日吉大社)を勧請したのが始まりだそうだ。
 バリバリの日吉系に相応しく本殿前に2匹の神猿(狛猿)が祀られており、何れも金網で囲まれている。
   
本殿に向かって右手

本殿に向かって左手

 神の使いである神猿は「神猿(まさる)(真猿)」と呼ばれている。
 「まさる」は「魔去る」、「勝(まさ)る」、「増(まさ)る」に通じる。 
 本殿前や本殿欄間にも安置されている。他にも、
 「」と呼ばれていたと伝わる豊臣秀吉(木下藤吉郎) を祀る「樹下(このもと)社」などもある(木下≒樹下)。                      



神様は「御神輿」に乗って移動するものだと思っていましたが、馬にもお乗りになるのですね。   
御神馬 粟田神社にて

御神馬 粟田神社にて

 神社によっては専用の「神馬舎」がある。   
八坂神社の神馬舎

八坂神社の神馬舎

 田中神社の祭神は、
 速素盞鳴(スサノヲ)尊(のみこと)」奇稲田姫(クシイナダヒメ)命(のみこと)」と 
 その子たち「三女五男八柱御子神(やはしらのみこがみ)」で、「卯」を神使とする「岡崎神社」と同じだ。


看板には「馬の神様」と書かれているが、由緒書きを読む範囲では馬との関連性は不明。
また「勝馬納駒」とも書かれている。
ここで妄想。
京都競馬場も近いことから、勝馬の馬主若しくは大穴をあてて大金を手にした方が奉納したのか?
木製で、右側に牡馬(ぼば)、左側に牝馬(ひんば)が鎮座している。

 日本サッカー協会(JFA:Japan Football Association)のエンブレムにもなっている八咫烏
 八咫烏は世界遺産 熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)の神の使いだ。
 
 記紀によると、八咫烏は、神武東征の際高皇産霊尊によって神武天皇のもとに遣わされ、
 神武天皇を熊野から大和への道案内をしたとされる、導きの神だそうです。
  
 八咫烏は太陽の化身と言われており、三本足が特徴で、
 この三本の足はそれぞれ天・地・人をあらわすといわれています。
 京都には京都三熊野と称される神社があります。 
No名称読み 熊野三山との対応主祭神場所
1新熊野神社いまくまのじんじゃ 熊野本宮大社須佐之男命東山区今熊野椥ノ森町42
2(京都)熊野神社くまのじんじゃ 熊野速玉大社伊邪那岐命左京区聖護院山王町43
3熊野若王子神社くまのにゃくおうじじんじゃ 熊野那智大社伊邪那美命左京区若王子町2

1.新熊野神社 
 今熊野神社は、平安後期の永暦元年(1160)に後白河上皇が紀州(和歌山県)より勧請した。
 残念ながら狛八咫烏はいないが、本殿屋根に八咫烏が阿吽の形でアピールしている。
 こじんまりした境内ではあるが、彼方此方にいろんなものが配置されており見てて飽きない。
 本殿裏手には「熊野古道(?)」が再現(?)されており、八咫烏もガラスケースの中に収められている。
             


熊野古道(?)

八咫烏

2.(京都)熊野神社
弘仁2年(811年)に修験道の日圓が国家護持の為に紀伊国熊野から熊野大神を勧請したのが始まりだそうで、
かつては聖護院の鎮守社であったそうだ。
派手さはないが、彼方此方に八咫烏がちりばめられている。
また、境内には「八つ橋発祥の地」碑がある。
門扉
          
  


「八つ橋発祥の地」碑


 亥は摩利支天との関連も深いが、京都御所の西に位置する「護王神社」の「神使」だ
 御祭神は、和気広虫命、和気清麻呂命の姉弟だ。
 鳥居の下に「神使 亥」の碑が建てられており分かりやすい。


「猪」と「祭神である和気清麻呂公命」と「ご利益」の関係は、
「和気清麻呂公命、道鏡事件で大隅国(今の鹿児島県)へ流されたが、途中
足萎えで立つことも出来なかったが、猪のご守護によって不思議と立って歩けるようになった」
という故事に因んでいるようだ(「由緒書」を参照)。
この故事をもって「亥」を「神使」としているようだ。
(詳細は別稿「和気清麻呂 絵巻(紙芝居) 護王神社」をご参照いただきたい)

境内にはいたる所に「猪」,「猪」,「猪」・・・。
護王神社 表門
護王神社 中門
拝殿
いたるところに猪
足萎難儀回復の碑 ここで祈願
由緒書①
由緒書②
由緒書③
いのしし神社のおはなし


順次公開予定。乞うご期待