「神の使い(神使)」と「狛犬?」オンパレード (その1)
「鬼門の魔除け(鬼門封じ)」でも書いたが、
神社にはそれぞれ「神の使い(神使)」とされる動物がいる。
代表的なものとして
☆稲荷系の「狐」
☆天神(天満宮)系の「牛」
☆春日系の「鹿」
☆八幡系の「鳩」
☆日吉(山王)系の「猿」
などが「神の使い(神使:しんし)」だと言われている。
神話の中の記述、故事や神社の縁起、神社周辺の環境などに基づいて、
「神使」として認知されるようになっていったのか・・・。
一方、大抵の神社の参道や本殿前には一対の「いわゆる狛犬」と呼ばれるものがいる。
邪気を祓い神前を守護する意味があるそうだ。
狛犬の起源はペルシャ、インドの獅子を象った像のようだが、どう見ても「犬」には見えない。
獅子を見たことのない当時の人が「犬」と勘違いしたのか?
そして神の使い(神使)が「いわゆる狛犬」として設置されている神社も多い。
市内(一部市外)で見かけた「神の使い(神使)」と珍しい「狛犬?」を幾つかご紹介。
【鰻(うなぎ)】(三嶋神社:東山区上馬町 三丁目)
「鰻」が神の使い(神使)だとは、驚き桃の木山椒の木だ。
こじんまりした境内でひときわ存在感を放っている。
祭神は、「大山祇大神」「天津日高彦火瓊瓊杵杵尊」「木之花咲耶姫命」の三柱。
「木之花咲耶姫命」は「大山祇大神」の娘の一人である。
何故「鰻が神の使い」とされたのか?説明版には書かれていなのでよく分からない。
祭神と「鰻」を結びつける故事や言い伝えなどは聞いたことがない。
「摂津(大阪府)の三嶋神を勧請した」とあるので、其方に手掛かりがあるかも知れない。
子授け、安産の神として信仰されているようで、祈願中は鰻を禁食する習わしが
現在も伝えられているとのこと。
鰻を食して精をつけた方がいいような気もするが・・・。
【うさぎ(兎)】(岡崎神社:左京区岡崎東天王町)
岡崎神社の祭神は、
速素盞鳴(スサノヲ)尊(のみこと)」奇稲田姫(クシイナダヒメ)命(のみこと)」と
その子たち「三女五男八柱御子神(やはしらのみこがみ)」。
かっては境内を始め地域一帯が野うさぎの生息地で、
多産なうさぎは古くから神の使いと伝えられていたそうだ。
祭神の子だくさんとも関連してか、子授け安産にご利益があるという。
参道や本殿前で「一対のうさぎ」が狛犬ならぬ「狛うさぎ」として参拝者を出迎えてくれる。
その愛くるしい表情に癒される。
【おまけ】
八坂神社の末社「大国主社」には、日本神話(古事記)の「因幡の白うさぎ」に因む
「大黒さまと白うさぎ」像が奉納されています。
松尾大社の祭神は、大山昨神と姫命。
大宝元年(701年)秦忌寸都理が、松尾山大杉谷の神霊を勧請し、
秦氏の氏神として社殿を建立したのが始まりだそうだ。
渡来系の秦一族は様々な技術をもち、京都盆地のあちこちで開拓を進めますが、
松尾の地(嵯峨・嵐山)でも、保津峡を開削し保津川(桂川)に大きな堰を作り農業用水路を作るなど
今につながる礎を作った。
「亀と鯉」が神の使いとされるのは、松尾大神が保津峡を開くとき、
「川を遡るのに、緩やかな流れは『亀』に、急流は『鯉』に乗って進んだという言い伝えがある」
からだとされています。
神使の庭 亀と鯉 |
境内の彼方此方で見ることが出来ますが、
「撫で亀」「撫で双鯉」はコロナ対策のためシートで覆われており
残念ながら見ることも触ることも出来ません。
本殿裏手の「神泉 亀の井」の水は延命長寿の功徳があり「よみがえりの水」とも呼ばれる霊泉です。
お酒の仕込みに使うと、酒が腐らなくなると言われています。
汲み取り自由だそうですが、社務所で専用容器も販売されていました。
「神泉 亀の井」の先に、「霊神の滝 滝御前」社があります。祭神は「罔象女神(みづはのめのかみ)」、「水神 万物の生成発育を司る神」だそうで、
パワースポットのようです。
「神社検定」なるものがあるのですね。知りませんでした。
挑戦してみようかな・・・。
【狛ねずみ】(大豊神社(大国社):左京区鹿ケ谷宮ノ前町)
大豊神社には「狛✖」が勢ぞろいしている。神社はそれを売りにしているようにも見える。
中でも大国社の「狛ねずみ」が人気らしい。
GoogleMapでも「2体のネズミの像が鎮座する神社」と表記されている。
大国主命と言えば出雲大社。出雲大社では大国主命の神の使いは「海へび」だと言われている。
「ネズミ」を神の使いとするのには多少なりとも違和感があるが、
全く「ネズミ」と無関係かといえばそうでもない。
古事記にはこんな記述がある。搔い摘んで言えば、
「素戔嗚尊」が大国主命の男としての力量を試すため3つの試練を与えた。
最初の2つは、スセリビメの助言と手助けにより何とかクリアした。
3つ目の試練は「素戔嗚尊が野原に向けて射った弓矢をとって来い」ということであった。
大国主命が取りに行くと、素戔嗚尊は火を放ち、炎は野原を包みこんだ。
絶体絶命のピンチを迎えた大国主命であったが、突然ネズミが現れたと思ったら
地面が崩れその土の中で火をやり過ごし一命を取り留めた」というお話。
この話をもってしてネズミを「狛ねずみ」として祀っているのだろう。
奉納されていた切り絵の一部にこのシーンを彷彿させる部分がある。
大国主命は大黒様としても知られているが、スセリビメ以外に5人を妻とし沢山の子孫を
残している。
(子供の数は、古事記には180柱、日本書紀では181柱と書かれているそうだ)
「英雄色を好む」というか「隅におけないね、大国主命」。
【狛巳(へび),狛猿,狛トビ】(大豊神社(大国社):左京区鹿ケ谷宮ノ前町)
大豊神社では、「狛ねずみ」以外にも、狛巳(へび),狛猿,狛トビなどを見ることが出来る。
【狛巳(へび)】
本殿には「狛巳(へび)」が祀られている。
祭神は、応神天皇(勝運ノ神)、少彦名命(医薬祖神)、菅原道真(学問ノ神)。
変わった組み合わせだが、少彦名命(医薬祖神)は大国主命とともに国造りに貢献した。
どうして「狛巳(へび)」なのか、言い伝えなどの説明はない。
大豊神社 本殿 |
【狛猿】&【狛トビ】
境内左手には一つ屋根の下に「日吉社」と「愛宕社」が並んで建っている。
【狛猿】&【狛トビ】は一対ではなく片側のみ。
「日吉社=猿」はよく分かるが、愛宕社が「トビ」の理由は分からない。
愛宕神社(愛宕山)は和気清麻呂との関連で神の使いは「猪(いのしし)」だと聞いたことがある。
愛宕神社には「猪に跨った天狗の絵」が奉納されているいるが、天狗の顔が「トビ」に
似てなくもない。
愛宕社(左) 日吉社(右) |
愛宕神社に奉納されている「猪に跨る天狗」の絵 |
新日吉神社や京・日吉神社には、狛猿が鎮座している。
(「京都市内で「お猿さん」に出会える神社」をご参照あれ)
【狛狐(きつね)】
「稲荷社」には「狛狐」。
京都市内で春日系を代表する神社と言えば、大原野神社であろう。
(他にも、吉田神社(左京区吉田神楽岡町)や西院春日神社(右京区西院春日町)などがある)
大原野神社は、長岡京遷都に際し桓武天皇の皇后である「藤原乙牟漏(ふじわら の おとむろ」が
藤原氏の氏神である奈良・春日大社を勧請し都の守護神としたのが始まりだそうだ。
大原野神社の祭神は、奈良・春日大社(総本社)と同じ
武甕槌命(タケミカヅチノミコト)
経津主命(フツヌシノミコト)
天児屋根命(アメノコヤネノミコト)
比売神(ヒメガミ)
の4柱。
神の使いは「鹿」。
「武甕槌命が『白鹿』に乗ってはるか鹿島(茨城)から奈良にやってきた」
という言い伝えに基づくものだという。
大原野神社に「狛犬」はいない。本殿前に「狛鹿」が鎮座している。
【大原野神社】
大原野神社は、お宮参り、七五三、鹿との戯れ、・・・。個人的にも思い出の多い神社だ。
源氏物語ゆかりの地であり、「乙訓景観十景(京都市西京区エリア)」にも選定されている。
(「鯉沢の池」は、奈良の「猿沢の池」を模して造られたといわれている)
続きは「「神の使い(神使)」と「狛犬?」オンパレード (その2)」でどうぞ。