2020年10月18日日曜日

西方寺谷林道を行く 「山の神さん」を訪ねて(その2)

 西方寺谷林道を行く「山の神さん」を訪ねて (その2)

 
少し前に西方寺川古墳群のある西方寺谷林道に行った。
特に目的があったわけでなく、何となく体を動かしたかった。
 
林道起点の手前に山の神が祀られているが、地の人の話では、
「林道の先に祠のある山の神さんが祀られている」
とのことだったので目的地をそこに決めた。
林道の先には「祠のある山の神さんが祀られていた

林道手前の「山の神さん」
林道手前の「山の神さん」の解説板
前回は少しズルして楽ちんなチャリ(電動)で行ったのだが、
西方寺川古墳群の一番奥「北松尾古墳群」の先の土砂崩れで林道は通行止めになっており、
涙を飲んで引き返した。
通行止めの看板
土砂崩れの現場
という事で今回はリベンジ。チャリ(電動)は諦め徒歩で。
(ここまでの行程は「西方寺谷林道を行く「山の神さん」を訪ねて )」を参照してください)。
土砂崩れの現場には人一人が通れる踏み跡がついている。ここは自己責任で慎重に通過。
「ササの中侍」の案内板を経て暫く行くと立派(?)な休憩所がある。
傍に「油の谷」の案内板が(原油が湧き出るのか? それとも「油を売る」場所なのか?)。
丸太のベンチに座って対岸を眺めていると何やら石積みのようなものが見えた。早速行ってみた。
それは「鹿猪の供養塔」であった。手を合わせ静かにその場をあとに。
「ササの中侍」
休憩所
「油の谷」
対岸に何やら石積みが見える
「鹿猪の供養塔」
「鹿猪の供養塔」
6号橋を渡ると「水晶谷」の案内板がある。
ベンチに座っていた二人連れの女性の話では水晶が採れるそうだ。
左手に山道が見える。何処に続く?
思い出した。以前唐櫃越を通って沓掛山に登った時こんな案内板を見かけた。
(そこには「西芳寺川林道 6号橋へ 約1時間」と書かれていた)。左手の山道は唐櫃越に続くんだ。 
(「近所の山々 沓掛山(415.1m)登山 & 唐櫃越」を参照してください)
唐櫃越で見かけた「西芳寺川林道 6号橋 約1時間」の案内板
7号橋を渡るとH鋼を使った細い橋が架かっている。渡った先には「深谷」の案内板。
6号橋
「水晶谷」案内板
左手には山道が
7号橋
H鋼を使った簡易な橋
「深谷」の案内板
8号橋には何やら看板が立ったいる。「滝の谷」の案内板と「日本製紙木材㈱」の案内板だ。
どうやら右手の山道を行くと「滝」があるようだが「歩道危険ケ所有注意」とある。
一瞬「行ってみたい」と思ったが「君子危うきに近寄らず」。先を急ごう。
9,10号橋は特記事項なし。11号橋には「寒谷」の案内板。12,13号橋は特記事項なし。 
その先に「立岩」、続いて「万石の谷」の案内板。
「立岩」は目の前の岩ではなく左手背後の岸壁の巨岩のことのようだ。
8号橋
「滝の谷」案内板
11号橋
「寒谷」案内板
「立石」の案内板。左手背後に巨岩
「万石の谷」の案内板
14~16号橋は特記事項なし。17号橋は鉄板橋だ。
その先右手に木組みの橋が架かっていた。試しに渡ってみると「尾根本道」の案内板があった。
松尾山から嵐山、烏ケ岳を経て山上ケ峰に至る尾根に出るのだろう。
「尾根本道」にあった17号橋への道標
松尾谷林道は西芳寺谷林道の間違い?
(尾根本道は「松尾山(275.8m),嵐山(382m),烏ケ岳(398m),三上ケ峰(482.2m) 登山」を参照)

18~21号橋は特記事項なしだが、20号橋の先に三差路があり
左に行くと「井戸のシキビ谷」の案内板がある。
ここから桂坂NTの裏手にある沓掛山への登山道に取り付くことができるようだ。
そして林道はまだまだ続いているのに「これより先は行き止まり」の注意書き。訳が分からない。
17号橋(鉄板製) 
木組みの橋
「尾根本道」へ
三叉路?
「井戸のシキビ谷」
注意書き
 22号橋。「横尾山」への案内板がある。
「横尾山」って地図にも載ってないしどこにあるのだろう?
林道は大きく右にカーブし川から離れていく。どうやら22号橋が最後の橋のようだ。
この川を遡れば西芳寺川の源流にたどり着くのか?
暫く進むと視界が晴れ明るくなり、峠のようなところに出てきた。
左右に山道が続いている。左手に小さな祠が見える。
どうやらここが目的地の祠のある山の神さんのようだ。やっとこさ到着。
林道はまたまだ続いているが今回はここが終点。
林道起点から写真を撮りまくり景観を楽しみながらテクテク歩いて約1時間半。
いい運動になった。
22号橋
「横尾山」案内板
明るくなってきた
峠のような感じ
烏ケ岳方面へ
小さな祠がある

殆ど人と出会うこともなく、川のせせらぎ音だけが辺りを包む。
谷間の林道ゆえ眺望はもう一つだが、色々な谷名の由来など妄想しながら歩くのも楽しい。
西芳寺川古墳群(注)の見学を兼ねて祠のある山の神さんまで歩けばいいウォーキングになる。
ルートは土砂崩れの箇所を注意すればあとは全く問題はない。お勧めです。
(林道起点から「山の神さん」まで約4km,標高差約260m)

「山の神さん」には「山の神さんの大好物」が奉納されていた(スライドショー参照)。
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「山の神さん」は山を守り山を支配する神様で女性だと言われている。
大変嫉妬深く女性が山に入るのを嫌うそうだ。
 
少し前までは、トンネルの工事現場に女性が入ることは労働基準法的にも許されなかった。
女性の苛酷労働を禁じたものと思われるが、
「女性が坑内に入ると山の神が嫉妬し怒り事故が起こる」という伝承も背景にあったのか?
(2007年に労働基準法が改正され規制は緩和されている)
 
 結婚後年を経て口やかましくなった自分の妻のことを
「山の神」などと呼んでいた時もあったようで(今は死語?)、
「山の神さん」が転じて「カミさん(今でも通用する?)」になったとも言われる。
(辞書では「カミさん」の「カミ」には「神」ではなく「上」の字があてられているが)
 
何れにしても「山の神さん」も「カミさん」も大事にしないと・・・。 


(注)【西芳寺川古墳群】については以下をご参照ください。

2020年10月11日日曜日

近所の歴史探訪(古墳探し)~「丸尾古墳? 磐座?」編~

 近所の歴史探訪(古墳探し)~「丸尾古墳? 磐座?」編~

 
古墳の現況として「完存,半壊,全壊,消滅」などと分類されていることが多い。
詳しい分類基準は分からないが、例えば「全壊」と「消滅」はどう違うのだろう?
家で言えば、[全て壊れた状態]が「全壊」で、[全壊したものを撤去し更地にしたもの]が「消滅」?
古墳探訪の対象は「完存」と「半壊」だが、素人にとってこの区分ももう一つよくわからない。
 
たまたま公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所のHPを見ていて、
現地説明会の開催」というページを見つけた。
大原野の圃場整備工事中に発見された下西代古墳2基の現地説明会用の資料だ。
(下西代古墳については「石室を見ることが出来る古墳」をご参照あれ)
その資料中の「大原野の遺跡一覧」に
「丸尾古墳:西京区大原野石作町に古墳時代後期の棚田上に横穴式石室が1基完存
 という記述があった。
 素人は「完存」という言葉に弱い。しかも「石室」だ。早速行ってみることに。
大凡の場所は京都市遺跡地図提供システムを使えばすぐに分かる。
 
【行程】
府道733号(柚原向日線) をひたすら西へ=>
①八幡宮社(長峰八幡宮)の手前の三叉路を左(灰方)へ=>
②大原野クリニックの先の三叉路を右へ=>両脇に棚田を見ながら一路目的地へ=>
③途中の三叉路は右方向へ=>
④最後に右に大きく曲がったドン付きが目的地だ。
ルートマップ

①左方向へ(右は金蔵寺方面)
②右方向へ
③右方向へ
【探索】
「丸尾古墳」は、ガードレールが途切れた辺りから右側の畦道(?)を
20m~25mほど行ったところの左側にあるはずである。
そこは見た目少しこんもりとしてそれらしいが、散々探してみたが石室らしきものは見つからなかった。
(ひょっとして、調査後埋め戻された? この辺が素人の悲しさである)
④目的地
畦道
この辺りの左側
別の場所かもしれないと思い今度は丘陵の裾にそって左手の竹林(竹藪)の中へ。
そのまま数十m進むと石が積み上げられたところにでた。
一見して自然のものではないことは分かるが、この石積みが「横穴式石室」?
どうも違う。
石組みに行く途中に明らかに人工的に作られたい石垣状のものがあり、
その延長線上にある積み上げられた石も棚田保全用の石垣の一部なのだろう?。
「丸尾古墳の『完存する横穴式石室』」はいずこ。
裾に沿って左へ
石垣状のもの
上部から
手前側から
奥側から
【磐座か?】
 上記資料に「磐座か?」という項があり「石作町の棚田に、高さ2m以上の巨石確認」とある。
京都市遺跡地図提供システムには掲載されていないが、近くのようなので行ってみた。
磐座?は先ほどの道を少し先に行ったところにある「天空農園」東側の棚田の中にあった。 
「高さ2m以上の巨石」 で間違いないが、磐座かどうかは不明。
棚田の中に磐座?
 
【おまけ】
現地の標高は60mほど。京都市南部の展望良し
 
【八幡宮(長峰八幡宮)古墳】
折角なので、久しぶりに八幡宮古墳に立ち寄ってから帰路につくことにした。
八幡宮(長峰八幡宮)は、①の三叉路を右に行って直ぐのところにある。
八幡宮古墳は1~3の3基あったようで2号墳は全壊、3号墳は半壊だそうだ。
1号墳は本殿の下にある。本殿右側の石垣にポカリと穴が開いており、そこから石室が覗ける。
カメラを突っ込んでパチリ。
本殿下の石垣に穴が
穴の拡大(開口部)
1号墳石室内部

古墳シリーズ